1847年から雑誌に発表された『
猟人日記』(
1852年)で、貧しい
農奴の生活を描き、
農奴制を批判したことで逮捕・投獄される。この作品は
農奴解放に大きな役割を果たした。その後も、
1854年の『
ムムー』でも地主のもとで使われる農奴たちの悲劇と精神の解放を描いている。続く
1856年の『
ルージン』では、高い理想と教養をもちながらも現実に対しては無力ないわゆる「
余計者」を描いた。その後も、政治社会的な問題を主題とした『貴族の巣』(1859年)、『その前夜』(1860年)、『処女地』(1877年)などを次々と発表し、社会論争を巻き起こした。理想主義的な父の世代と、唯物論的な子の世代の相克を描いた『
父と子』(1862年)は、19世紀のロシア小説の最高傑作の一つに挙げられる。自伝的な作品として『アーシャ』(1858年)、『
初恋』(1860年)なども残している。