中学時代に共産主義者の友人に影響されたことにより、チャベスの社会主義へのシンパシーは始まった坂口安紀「苦悩するベネズエラ―チャベス政権の「ボリバル革命」の行方」『異文化理解講座8 現代中米・カリブを読む 政治・経済・国際関係』小池康弘:編山川出版社、2008年3月。チャベス自身の兄アダン・チャベスも左翼の活動家であり、兄の人脈によって1960年代に武装闘争を行っていた元共産ゲリラとの交流をも持った。高校を卒業した後にベネズエラ士官学校(Academia Militar de Venezuela)に入学した。士官学校時代には当時ペルーで軍事革命政権を樹立し「ペルー革命」を推進していたフアン・ベラスコ・アルバラード将軍とペルーでの軍事式典で謁見し、多大な影響を受けた。ベラスコの他に、同時期にアメリカ合衆国とパナマ運河返還交渉を行っていたパナマのオマール・トリホス将軍にも影響を受け、ベラスコとトリホスはチャベスの思想的背景の一部を形成していると分析されている。1975年に士官学校を卒業するとベネズエラ陸軍に入隊し、少尉に任官した。軍隊時代は空挺部隊に勤務し、その赤ベレーは、後に彼のトレードマークの1つとなった。
クーデター失敗後は、同志を第5共和国運動(Movimiento V Republica;MVR)に組織し、武装闘争から合法的な政治活動に転換した。釈放後の1999年、1980年代以降推進された新自由主義経済改革、民主行動党とキリスト教社会党の二大政党制、富裕層や労働組合幹部に独占されていた医療や福祉などに不満をもつ貧困層の圧倒的支持を受け、大統領に選出された。