「
城の崎にて」(きのさきにて)は
志賀直哉の
短編小説。
1917年(大正6年)5月の「白樺」に発表。
心境小説の代表的な作品とされる。大正2年の秋、志賀直哉は
里見?と
芝浦へ涼みに行き、素人
相撲を見て帰る途中、
線路の側を歩いていて
電車に後からはね飛ばされ重傷を負う。東京病院に暫く入院し助かったが、療養のため
城崎温泉(「三木屋」という
旅館に宿泊)を訪れる。四年後その時の自らの体験から徹底した観察力で
生と
死の意味を考え「城の崎にて」を執筆。簡素で無駄のない
文体と適切な描写の無類の名文とされている。
東京
山手線の電車にはねられ怪我をした「自分」は、後養生に城崎温泉を訪れる。「自分」は一匹の
蜂の死骸に、寂しいが静かな死への親しみを感じ、首に串が刺さった
鼠が石を投げられ、必死に逃げ惑っている姿を見て死の直前の動騒が恐ろしくなる。そんなある日、何気なく見た小川の石の上に
イモリがいた。驚かそうと投げた石がそのいもりに当って死んでしまう。哀れみを感じると同時に生き物の淋しさを感じている「自分」。これらの動物達の死と生きている自分について考え、生きていることと死んでしまっていること、それは両極ではなかったという感慨を持つ。そして命拾いした「自分」を省みる。