この歌集は、絢爛たる王朝文化が衰退しはじめた頃、華やかなりし昔を振り返ったともいうべきものである。主な歌人は、
和泉式部(67首)・
相模(39首)・
赤染衛門(32首)・
能因法師(31首)・
伊勢大輔(26首)と、
一条朝前後の宮廷で活躍した才女歌人が上位を占め、女流の比重も三割と大きい。ほかに、
清原元輔・
大中臣能宣・
源道済・
藤原長能・同
公任ら後撰・拾遺時代の歌人も重視されている。和泉式部の激情がほとばしる恋歌から、赤染衛門の細やかな思い遣りの贈答歌、能因・
良暹ら僧侶歌人の旅情豊かな歌、
曾禰好忠の大胆な型破りの歌まで、その作者・作風ともに多様である。また、詠歌背景を詳しく説明する長文の詞書が多く、散文的特色が指摘されている。