文禄・慶長の役 wikipedia|無料辞書
文禄・慶長の役(ぶんろく・けいちょうのえき)は
1592年(
日本:
文禄元年、
明および
朝鮮:
万暦20年)から
1598年(日本:
慶長3年、明および朝鮮:万暦26年)にかけて、日本と明との間で行われた戦争。日本の
豊臣秀吉が主導する遠征軍と明および李氏朝鮮の軍との間で交渉を交えながら
朝鮮半島を戦場にして戦われた。
◆ 名称について
豊臣政権時から
江戸時代後期に至るまでは、この戦役が日本が明の征服を目指す途上の朝鮮半島で行われたものであることから
唐入り・
唐御陣、あるいは
高麗陣・
朝鮮陣などの呼称が用いられていた。
幕末から
明治初期にかけては
朝鮮征伐、
征韓などと呼ばれるようになったが、
1910年(明治43年)の
日韓併合以後は
朝鮮人が
日本国民とされたことから
朝鮮征伐の表現は避けられ、代わって第一次出兵を
文禄の役、第二次出兵を
慶長の役、併せて
文禄・慶長の役という呼称が定着した(他にも
朝鮮出兵や
朝鮮役・
征韓の役という呼び方もある)。近年では、
朝鮮半島が戦場となったため、朝鮮側が受けた被害に関心をもつ研究者
[北島万次『豊臣政権の対外認識と朝鮮侵略』(1990)/校倉書房]を中心に
朝鮮侵略と呼ぶ場合もあり教科書記述にもその影響が見られる。しかし豊臣秀吉はあくまで明を征服することを目指しており、朝鮮そのものの征服が目的ではなく、あくまで明への出兵の途上での戦役であった。
文禄の役は1592年(文禄元年)に始まって翌
1593年(文禄2年)に休戦した。また、
慶長の役は
1597年(慶長2年)講和交渉決裂によって始まり、1598年(慶長3年)の秀吉の死を受けた日本軍の撤退をもって終結した。
北朝鮮・
韓国では文禄の役を
壬辰倭乱(じんしんわらん、、イムジンウェラン、戦役総称として使う場合もあり)、慶長の役を
丁酉倭乱(ていゆうわらん、、チョンユウェラン)または
丁酉再乱(ていゆうさいらん、、チョンユヂェラン)と呼んでおり(北朝鮮では
壬辰祖国戦争(じんしんそこくせんそう、、イムジンチョグ
クチョンジェン)と呼ばれる場合もある)、
中国では
万暦朝鮮戦争(ばんれきちょうせんせんそう、)もしくは
朝鮮壬辰衛国戦争(ちょうせんじんしんえいこくせんそう、)と呼ばれる。
なお、文禄元年への改元は12月8日(
グレゴリオ暦1593年1月10日)に行われたため、4月12日の
釜山上陸で始まった戦役初年の1592年のほとんどの出来事は
元号的には
天正20年の出来事である。
◆ 背景
◇ 秀吉の戦争準備
1590年代までに、
豊臣秀吉は日本を統一し、短期間の平和をもたらした。秀吉が明を侵略する事を計画した理由は、かつて仕えた
織田信長の遺志を継いだとも、武士や足軽の人数が過剰になっており将来の内乱や反乱を誘発する可能性を憂慮したためとも、国内の統一戦争の延長として考えていたとも言われている。急成長を遂げて来た豊臣家は発展することにより家臣の家禄を増やし忠誠心を維持してきた、発展が止まるとは豊臣家の天下の存続に係わる問題であった。
1590年に小田原城の北条氏を降伏させ、日本は再び統一された。そして秀吉は次の戦争の準備を開始した。1591年3月から、九州の大名に命じて
名護屋城(現在の
唐津市)の建設を始めた。これは侵攻軍の動員の中心基地となるものである。
秀吉は、日本を統一するよりもずっと前から、大陸侵攻計画を練っており、広範な準備を行っている。1578年ごろ、秀吉は信長の部将として、
毛利輝元と中国地方の覇権を争っていた。このとき、輝元に信長の明侵攻計画を知らせている。1592年には、秀吉はフィリピンに書状を送り、入貢を求めた。このとき、既に朝鮮と琉球は日本に入貢していると述べている(ただしこの時の朝鮮入貢の認識は誤解に基づくものであった)。
軍事的な準備に関しては、既に1586年から、2000隻の船の建造を始めている。1587年には朝鮮軍の強さを測るため、秀吉は26隻からなる襲撃部隊を朝鮮南岸に派遣し、朝鮮軍は問題にならないと結論づけている。
外交面では、秀吉は日本を統一するずっと前から明とは友好関係を築こうとしており、交易ルートを荒らしていた倭寇の取締りを援助したりもした。
◇ 軍事力
当時の
朝鮮と
明に対する主な軍事的脅威は、
女真と
倭寇であった。女真は北の国境地帯で襲撃を繰り返し、倭寇は海岸近くの村や貿易船を襲撃して掠奪していた。
倭寇に対抗するため、朝鮮は水軍を養成し、
図們江に沿って防衛線を構築した他、
対馬を攻撃した(
応永の外寇)。この間、朝鮮では比較的平和が保たれていたため、朝鮮軍は要塞と軍船に偏重した編成となっていた。
高麗王朝の間に火薬が導入され、朝鮮では火砲が開発されており、これが海戦では大きな威力を発揮した。
一方、日本は長い内戦状態(
戦国時代)にあったため、軍隊は
ポルトガルから持ち込まれた
マスケット銃(
火縄銃)で武装するようになっていた。このような兵器戦略の違いが、陸戦における日本優位、海戦における朝鮮優位につながった。15世紀中頃から日本は内戦状態にあったので、
豊臣秀吉の指揮下には実戦で鍛えられた50万人の職業軍人が居た。これは当時のアジアで最大の軍隊であった。
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