「茶」の字は
中唐以後に成立した字で、それまでは「
荼」(ト)で代用されていた。「荼」は草本植物を表す
草冠と、「苦い」ことを意味する「余」からなり、本来は苦い味のする植物である
ニガナを指す字である。原産地の
雲南方面から
四川・江南へと
長江流域に茶が広まるにつれ、デャあるいはテャのような発音(
反切で澄麻の切)に荼字を当てて使うようになったと推定されている。
陸羽が『
茶経』を著して、「荼」を1画減らして区別することが広まったと言われる。『茶経』には「茶」、「
?」(カ)、「
?」(セツ)、「
茗」(メイ)、「
?」(セン)の5種の名が揚げられているが、他に当て字もあって、それらも合わせると10種以上の字が使われていた。「茗」に関しては、現代
中国語でも茶を総称する「茗茶」という言い方が残っている
世界で茶を意味する
語の起源は、「チャ」系統のものと「テー」系統のものがある
。「チャ」は主に陸路で伝わったが、大航海時代以降の伝播では中国語のうち、
広東語での呼び名であるチャ (ch'a または ts'a 。チャーまたはツァー) に由来するものと、
福建省厦門(アモイ)地方の方言(
ミン南語)での呼び名のテー (te または tei 。発音はどちらもテー) に由来すると考えられる。
ポルトガルが
広東省の
マカオから茶を運んだため、ポルトガル語でも「チャ」の発音が見られる(ただし ch? の発音は「シャ」)。また、
オランダがアモイから茶を運んだため、オランダから茶を輸入した国では「テ」の発音が定着し、テは海路で伝わったと言われる。茶を意味する単語をもつ言語でこの両者の系統に属さないものは極めて珍しい。