本名は
ウィラード・ハンティントン・ライト(Willard Huntington Wright)。1888年アメリカ・
ヴァージニア州に生まれる。
ハーバード大学卒業後、美術評論家として雑誌や新聞に寄稿していた。しかし生活への不安などから健康を害し、長期療養を余儀なくされる。病気療養中、暇つぶしに読んだ
英国ミステリーに圧され、2年間で2000冊の推理小説を読破したといわれる。退院後、推理小説を書き始め、1926年に第一作『ベンスン殺人事件』を上梓、たちまち大評判となる。その後、死去するまでに12作の長編推理小説といくつかの犯罪実話を執筆。さらに評論・アンソロジー等も精力的に発表した。アンソロジー『世界短編傑作集』序文の推理小説を書く上での鉄則を記したいわゆる
ヴァン・ダインの二十則も有名である。
アガサ・クリスティの『
アクロイド殺し』を酷評したことでも知られる。
12作の長編全てに名探偵ファイロ・ヴァンスが活躍する。ヴァン=ダインは面白い長編小説を書くのは一作家6作が限度だろうとしていた。その言葉通り、12作のうち前期6作、とくに『グリーン家殺人事件』や『
僧正殺人事件』の評価は非常に高い。対照的に後期6作の評価は芳しいものではない。特に11作目の『グレイシー・アレン殺人事件』は、映画製作を前提としてヒロインをフィーチャーして執筆されたもので、作風とそぐわないキャラクターが登場する。また最終作の『ウインター殺人事件』は、完成稿に取り掛かる前に作者が亡くなったため、作風である衒学趣味的な言説がほとんど見られない作品となっている。